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あいまいさを大切にするって、すばらしいですね

左合 ひとみさん

グラフィックデザイナー
株式会社左合ひとみデザイン室 代表

左合ひとみさん ――「ものが売れない時代といわれる現代にあって、広島の「藤い屋」、栃木の「エビベジ」など、手がける企業の商品が次々に大ヒット。日本を代表する人気デザイナーのひとり、左合ひとみさんがよこはまチャイルドラインのブランディングを担当してくださいました。

―― カードから、情報誌、ホームページ、封筒など、統一された美しいデザインをありがとうございました。

左合 まずは子どもたちに配布するカードですね。子どもだって小さな大人、ちゃんとした意識を持っていますから、きちんと伝えたかった。それに小中高と年令幅もあるので、統一感は保ちながら小学生用と中高生用に分けたいと思いました。とにかく、子どもたちが持っていたくなるようなカードにしたかったんです。
 なので、緑色(小学生用)と水色(中高生用)を基調とした、男女のどちらかの好みに偏らない色違いのデザインにしました。コピーも「18歳までの子どもがかける電話」から「子どもの声を受けとめる電話」に変えるというご提案をしました。
「18歳までの子どもがかける電話」は単なるスペックにすぎません。車で言えば、排気量は3000CCみたいな。でも、子どもにとって大事なのはそんなことではなく、チャイルドラインが自分たちに何をもたらしてくれるのかということ。だから、「子どもの声を受けとめる」になるのです。そうやって少しずつ、チャイルドラインのファンをふやしていきましょう。

――事実、新しいカードになってから、「子どもの声を受けとめる電話だからかけた」という電話が多々ありました。もちろん、出前授業でも「受けとめる」ことをていねいに説明しています。

左合 そして、チャイルドラインのロゴには、あえて古い電話機のかたちを持ってきました。携帯やスマホの時代になりましたが、なんというか、やっぱりあの電話は、残しておきたい原点ですからね。

左合ひとみさん ――左合さんって、子ども時代はどんな子どもだったんですか。

左合 わたしは親に手をかけない優等生タイプで、当時の友だちにとっては最初はちょっと近寄りにくい存在だったみたいです。友だちとも遊んではいましたが、一人で空想したり漫画を描いたりすることが大好きでした。
 子どものころの夢は、漫画家かデザイナーで、漫画を描くのが得意だったので、友だちに漫画を描いてあげていました。好きな漫画家は「もりたじゅん先生(作品は『キャー!先生』、『うみどり』)」と「一条ゆかり先生(作品は『デザイナー』、『5(ファイブ)愛のルール』)」でしたね。
それから、やっぱり「手塚治虫先生」は別格で、『リボンの騎士』はバイブルでした。

――そうだったんですか。どうしてデザイナーのほうに進まれたんですか?

左合 じつは、子どものとき、近所の化粧品や雑貨を売っているお店で資生堂の『花椿』誌やポスターを見てあこがれていました。当時のポスターはずっと大切に持っていましたが、『赤い花、見つけた』とか『春なのにコスモスみたい』というコピーも印象的でした。  漫画家とデザイナーと、どちらでもよかったんですが、漫画家はどこかに就職すればなれるものではなく、自力でデビューしなければなれません。なので、まずは東京藝大に入り、パルコの広告制作局を経てデザイナーになりました。でも、大学時代もずっと漫画は描きつづけていましたね。

――ところで、チャイルドラインにかかわってどう思われましたか?

左合  素晴らしい活動だと思います。とくに『あいまいさを受け入れる』と言い切っているところですね。白黒つけないで、そのままのかたちで受けとめる。
 おとなが子どもの役に立ちたいと意気込むと、成果を出したくなりますが、あえてそれをしない。子どものあいまいさを大切にする。ただ聴いてもらえる。子どもにまったく負荷がかからない。そういうところがあるということは、だれにとっても救いになるのではないでしょうか。
 受け手のみなさんがよりちからを発揮できるよう、成長されていっていただきたいと思います。それは、子どもにとってもいいことになるのですから。そして、よこはまチャイルドラインがほかのチャイルドラインに影響を与えるような存在になってほしいですね。
 いまは、疎外感や閉塞感などで、子どもが生きにくい時代です。そんな時代に押し付けがましくなく、子どもの気持ちをうまく掬いあげられるようなチャイルドラインであってほしいですね。期待しています。

――最後に、左合さんのこれからの夢を聞かせてください。


左合 わたしは仕事大好き人間です。これからも、より良い仕事をしていきたいですね。
先日、染織家の志村ふくみさんの個展に行ってきましたが、とにかくすばらしい。志村さんは90歳を過ぎても現役で進化しつづけておられます。
 そう、老いるのではなく、生涯にわたって進化できると素敵だなと思います。人生を積み重ねたぶん、それがいいかたちになって仕事に表れるといいですよね。
志村さんやアーティストの篠田桃紅さんのように。
 

――縁あって、NPO法人にとっては夢のまた夢のようなご支援をいただき、小さな活動だったよこはまチャイルドラインがなんだか生まれ変わったような誇らしい気持ちになりました。ほんとうにありがとうございました。

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