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熊本便り 25

 

「おまえもか、ブルータス」

 

友田明美さん。小児神経科医。最近、テレビ、新聞、雑誌などに引っ張りだこで、ご存じのかたも多いと思う。なぜ引っ張りだこなのか。

暴力や暴言など親の不適切なかかわり(マルトリートメント)は子どもの脳を傷つける、ということを世界で初めて実証したのが友田さんだ。厳しい体罰を受けた人は、学びや記憶にかかわる「前頭前野」が委縮し、暴言を受けた人はコミュニケーションのカギを握る「聴覚野」が変形し、家庭内暴力(DV)を目撃した人や性的虐待を受けた人は「視覚野」が縮小するという。つまり、見たくない聞きたくないという情景の詳細を見ない聞かないですむように脳の中で適応が行われているというのだ。

虐待が子どもに与える影響は決して小さくない、ということはなんとなく理解はしていたものの、ここまでしっかりと研究実証されると、その影響の大きさにがく然とする。

では、傷ついた脳はどうすればいいのか。友田さんは、「癒せない傷はない」「親が変われば、子どもが変わる」が信念だ。なので、小児神経科医ながら、親への支援も手厚い。勤務する「福井大学子どものこころ発達研究センター」には全国から悩める親子が訪れる。

と、前振りが少々長くなったが、先日事務局のBさんからメールをいただいた。

「先日NHKのプロフェッショナルに、医師の「友田明美さん」という方が取り上げられていました。虐待で傷ついた子どもの脳を科学的に研究している方です。語り口が徳丸さんそっくりだな・・・と思っていたら、ご出身が熊本、まさに熊本大医学部ご出身でした。1987年ご卒業だそうです。やっぱり徳丸さんの喋りは熊本弁だったんだとびっくりしたので取り急ぎです(笑)」。

あっはっはっは。そーだよん。ていうか、わたしもプロフェッショナルを見ながら、「友田さんって、熊本弁丸出しじゃん」とひそかに思っていて、こともあろうに「まさか自分も」なんて思いもしなかった。いやあ、おめでたい、おめでたい。まあ、わたしもちょっとぐらいはみなさんとアクセントが違うだろうなあ、くらいは自覚していたが、友田さんほどだったとは、驚きだ。だって、友田さんは大学卒業後、鹿児島や熊本で仕事をしていらっしゃって、わたしは大学卒業と同時に熊本を離れているので、ちょっとぐらいは訛りが抜けているのでは、と期待していたのである。

でもね。やっぱりね。生まれは隠せない。一説によると、9歳のとき、住んだ地域の言葉は一生ついて回るのだという。それに、同じ九州でも、なぜだか熊本弁のアクセントはちょっと他県と違うような気がする。福岡や大分や長崎、佐賀といったところは、あまりアクセントがきつくなく、さらりと標準語になじんでいる人が多いのではないかなあ。

でも、まあ、仕方ない。熊本出身の女医さんが世界的な研究を成し遂げたことは同じ熊本県人として誇らしく思う。頭とやってきたことの中身は全然違うけれど、同じ熊本弁を話すなんて、ふふふふ。

おまえもか、ブルータス。

徳丸 のり子 

 

 

 

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