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熊本便り 17

「不登校が少ない理由」その2 その1はこちらからどうぞ

 

 「ひとは出会いで人生が決まるといっても過言ではありません。N先生には本当に感謝してもしきれません。いのちの恩人です」

 こう語るのは、中学生のとき不登校の経験をもち、現在は社会人として第一線でバリバリ働くA君のお母さまである。

 A君は中学2年生のとき、不登校になった。原因は不確かだというが、あまり学校が好きになれず夜遅くまでゲームに熱中し、翌朝起きられず、ずるずると学校を休むことになったという。

 そのときの校長先生がN先生だった。熱血教師として知られたN先生は生徒指導にあたり、「不登校ゼロ」をめざしたのである。当然、A君も熱血指導の対象となった。N先生、学級担任、A君の親は話し合いを重ね、A君の不登校の理由が「甘え」であることを確認し、強制執行に出たのである。

 当日、N先生は担任とともに担架を用意して、A君の家へ。説得に応じそうにないA君に業を煮やし、子ども部屋に入り、A君を担架に乗せて学校まで連れて行ったのだ。

「もちろん、安易に行動にでたのではありません。ここに至るまではA君をきめ細かく観察し、親とも入念に打合せして実行しました。親と教職員の力の結集です」(N先生)

「失敗したら、どうするつもりだったのですか?」

「失敗なんて考えもしませんでした。本当に子どものことを思ったら、その気持ちをぶつけるしかありません。これも子どもへの愛情なのです」

 その後、A君は少しずつ登校できるようになり、いつのまにか学校は不登校ゼロになった。そして、そのうわさを聞き付けたほかの学校の不登校の親が子どもを学校に転校させるようになったという。

 20年くらい前の話だけれど、うそのようなホントの話である。日本全国探しても、こんな先生いるだろうか。というより、いまどきこんなことが許されるだろうか。「子どもの人権」という美しい言葉が盾になって、子どもの嫌がることはしない、というのが順当な判断だろう。万が一、失敗でもしたら、それこそ大ニュースになる。人権侵害もはなはだしいと。N先生は表舞台から姿を消し、ひっそりと生きていくしかない。

 自分のことを子ども自身が選ぶ、ということはとても大切な考えだけれど、経験値が少ない子どもが自分で選んでゆくのは一方でかなり難しい面があるのも否めない。自由選択はもっともきついことでもある。信頼するおとなに「こうしなさい」と言われるほうが子どもにとってはたやすいこともある。

 いま、世間は必要以上に「他人に踏み込む」ことをしないのではないか、良くも悪くも。教師もリスクをとれなくなったし、表面をなぞり、なんとなく終わってしまう。もう少し、だれかが踏み込んで接してくれたら、不登校は引きこもりは脱していたかもしれない、という子どもや青年はもしかしたら案外多いのではないだろうか。踏み込むにはもちろん、覚悟と情熱と、なによりハートが必要なのだけれど。

 その後、N先生は県の要職を歴任し、今では某高校の副理事長を務める、現役バリバリの教育者である。齢80歳を超えるけれど。

 

 

徳丸のり子

 

 

 

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