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熊本便り 11

 「美しいふるさとの祭り」

 

 

う、うつくしい。

なんという細やかさ。色使いの巧みさ。部屋の灯りからかけじくまで、洗練された上品な造り。日本の伝統的な美。子どものころから何度も何度も目にしているものなのに、こんなに美しさを感じたのは初めてである。

作者がいいのか。聞けば、いちばん若い職人で、まだ20代という。どおりで、伝統のなかにも、なんだか現代的な美的センスが漂う。

しかし、見物人はわたしたち以外だれもいない。おそらく、街はずれのここに来る人はまれだろう。静謐、市井のひとが静かにそれを見守る姿にも風情がある。観客がいなくてもったいないと思う反面、ひとがいないからこそ味わうことのできる粋もあるのだと思う。

「この町は高齢化が進み、もう40軒くらいしかありません。若い人が少ないので、明日の担ぎ手が足りなくて、郵便局長さんがひとを集めてくれました。町の負担は8万円。あとは市が補助してくれるから、やっていけます」

815日。全国的には終戦記念日だけれど、ここ山鹿市は、「灯籠祭り」で賑わう。その昔、菊池川一帯に立ち込めた深い霧に進路を阻まれた景行天皇のご巡幸を、山鹿の里人がたいまつを掲げてお迎えした。以来、里人たちは天皇を祀り、毎年たいまつを献上したのが始まりで、室町時代になると、和紙でつくられた灯籠を奉納するようになったというから、その歴史は古い。

わたし自身、祭りに訪れたのはじつに40数年ぶり。往時の賑わいはないけれど、しっとりとしたなかにも、伝統を守っていこうとするひとびとの心意気を感じる。

祭りの目玉は、なんといっても「灯籠」である。町内ごとに、それぞれの「灯籠」をつくり、15日から飾り付け、16日真夜中に町衆が灯籠を神輿のようにかついで大宮神社に奉納するのだ。「灯籠」は、熟練の職人が和紙と糊だけを使って、おもに日本中の寺社仏閣をつくりあげる。今年は28基もの灯籠がつくられ、冒頭の灯籠は「座敷づくり」と命名された、日本家屋伝統の様式をかたどっている。

そして、「ぬしは山鹿の骨なし灯籠 よへほよへほ 骨もなけれど肉もなし よへほよへほ」という「よへほ節」の調べに乗せて、優雅に舞い踊る「1000人灯籠踊り」は、翌16日の一大イベントである。頭上にほのかな灯りのついた金灯籠を載せ、浴衣姿で1000人もの女性が闇のなかで舞う光景は、この世のものと思えないほど見るひとを幻想的な世界へと誘う。身びいきかもしれないけれど、あの有名な富山の「おわら風の盆」に決してひけをとらぬ美しさである。うん、ぜったい。

「山鹿灯籠祭り」、日本中に祭りはたくさんあるけれど、ぜひぜひ一度は堪能してほしい、誇れるふるさとの祭りなのです。

 

徳丸のり子

 

 

 

 

 

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