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梅干し

  数ヶ月前、古い友人から「梅干し」が送られてきた。関西在住のその友人は10数年前から自分で梅干しを漬けており、「わたしって梅干しつけるのがうまいのよ」とのたまっていたが、わたしはあまり気にもとめず、「ふーん」と聞き流していた。

 ところが、である。送られてきた梅干しを見てびっくり、食べて二度びっくり、あまりの芳醇さに度肝をぬかれた。きっと、あの名高い南高梅で漬けたのだろう、一粒が大きくて、しっとりしている。その味も、甘すぎず辛すぎずすっぱすぎず、ほどよいまろやかさを保っており、梅干しの本流ともいうべき味で、いやあ日本人ならだれもが郷愁を覚えるだろう。行きつけのおすし屋さんで「特別に」と出されたそれとまったく見劣りしない。いちばんのごちそうといっても過言でない。当然、我が家ではその梅干しを食べるというのは特別の行事になっている。

 で、この季節、ちょうどスーパーに梅がならんだのを見て、わたしはずうずうしくもその友人に電話して「うちの分も漬けてちょうだい」と懇願したのである。友人は電話では「うーん、じゃあ5キロくらいつけてあげるよ」と答えてくれたので、わたしはうれしくなったのであるが。

 が、が、が、翌日、友人からメールが届いた。「家族以外のひとに漬けるのは無理です。あの梅干しは毎年、家族が健康でありますように、と願い、一粒一粒を丹精し、1年かけて熟成させるので、いくらあなたのお願いでもやっぱり無理です」と。がーん。

 わたしは、自分のおろかな行為を深く反省し、そして思った。そうだよね、あなたはそうして家族を大切にしてきたんだよね、と。ごめんなさい。

 母の味に勝るものはありません。そう、いくらミシュランで☆をとったとしてもね。

 


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