ビジョンーめざす社会のすがた―
子どもの笑顔があふれ、子どもが安心して子ども時代を謳歌できる社会 ~おとなも子どもも自分らしく伸びやかに生きることのできる社会~
日本の子どもたちの、いま
日本の子どもたちは幸せでしょうか。食べるものには困らないし、教育も充実していて、何か問題あるの? と思われる方もたくさんいらっしゃるでしょう。
確かに、一面ではそうかもしれません。
でも、2020年9月、ユニセフ(国連児童基金)は7年ぶりに、経済協力開発機構(OECD)または欧州連合(EU)に加盟する38の国々の子どもの幸福度ランキングを発表しました。結果は次の通りです。
総合・・38か国中20位(前回は6位)
身体的健康・・1位(肥満や死亡率が低い)
スキル・・27位(友だちをつくるスキルは37位)
精神的幸福度・・37位(ワースト2)
(15歳の生活満足度が62%で37位、自殺率が高い)
↓
家族のサポートがない、いじめが多いのが原因
精神的幸福度は、なんと「ワースト2位」。衝撃的ですね。
つまり、子どもたちはちっとも気持ち的には幸せでないということです。
そして、このことを裏付けるような次の数字をごらんください。
・2019年度若者の自殺数 659人(前年度599人)
(2020年厚生労働省・警察庁統計資料調査)
全体の自殺数は減少しているのに、若者の自殺は減少していない
・2019年度いじめ認知件数 612,496件(前年度より68,653件増加の
過去最多)(文部科学省調査)
・2019年度児童相談所虐待相談対応件数193,780件(前年度より33,942件増加)(2020年度厚生労働省調査)
・子どもの相対貧困率(13.5%)沖縄(29.9%)
(2019年厚生労働省調査)
・全国の不登校児童生徒数(国・公・私立の小中学校)(文部科学省調査)
2019年度181,272人(2018年度164,528人)
15~39歳ひきこもりは54万人(2016年内閣府・全国実態調査)
40~64歳ひきこもりは61万人
・私は価値ある人間と思う
日本・・7.5%
米国・・57.2%
中国・・42.2%
韓国・・20.2%
(2013年日本青少年研究所調査)
少子化にもかかわらず、何らかの生きづらさを抱えている子どもたちが急増しています。背景には、経済優先の社会をつくってきたことで、「効率」が重要視され、大切な大切な人間関係まで効率化し、ひとのこころについてはケアが行き届かなかったことがあります。
「パンへの飢えがあるように、ゆたかな国にも飢えはあります。愛とか、親切とか、思いやりといった"こころの飢え"です。それは一切れのパンに飢えるより、激しい飢えです」
マザーテレサのこの言葉は、深く胸に突き刺さります。
いま、取り組まなければならないのは、おとなも子どもも「生きててよかった」「わたしはわたしでいいんだ」と思えるような、あたたかく思いやりのある社会の実現です。
そう、「おとなも子どもも自分らしく伸びやかに生きることのできる社会」です。
ともに、がんばりましょう。
